クローズアップ OB & OG インタビュー

2011年3月卒業 物理科学専攻

三菱電機株式会社 先端技術総合研究所

2013年3月

今澤 貴史 Takashi Imazawa


Q.1 どんな仕事をしていますか。
主に電子デバイスが対象で、さまざまな現象をミクロな視点で分析する仕事です。
例えば、機器の不具合がなぜ起こるのか、といった原因究明をします。
今の仕事は、私が大学の研究室で行っていた分子磁性の研究と関連がありますし、
入社前に希望していた分野で働けています。
Q.2 分析技術の最前線ですね。
たとえば、携帯電話は高機能化と同時に軽量化や小型化、更には省電力化が進んでいますので、デザイスに許される容量は小さくしながらも、より多くの機能を搭載することが求められます。分析する対象も、より小さく、より複雑化しています。日本企業は技術者の気質からして、込み入った細かな作業や、ものごとを極めるのが得意ですから、この領域には、今後の産業発展に貢献できる明るいイメージをもっています。
弊社では環境へ配慮した新材料の開発も積極的に行っています。
Q.3 仕事で心がけていることを教えてください。
上司や先輩から仕事を任せられる時に、言われたことだけをやるのではなく、自分なりの工夫をして、「よりよくやろう」という思いを常にもつようにしています。
Q.4 どんな時に仕事のやりがいを感じますか。
自分が分析した結果が、製造現場にフィードバックされて、
「うまくいった」と言ってもらえた時ですね。
Q.5 どんな就職活動でしたか。
就職活動時期は、リーマン・ショックの直後ではなかったですが、余波はまだ感じられましたので、第一志望の電機業界だけでなく、ほかの業界にも志望先を広げて、企業研究をしました。
大学では物理科学専攻でしたが、化学の要素が含まれる有機合成や分子設計も学ぶことができました。これは物理出身者では、あまり経験できないことですので、幅広い業界にエントリーする上で、よかったと思います。
Q.6 就職活動と学業との両立で工夫した点は?
学生生活を送る上で、理系は特に実験で時間的な制約を受けますね。
就職活動中も、丸一日かかる実験と面接日が重なるとたいへんです(笑)。
文系と比べると、理系は企業数も限られますので、制約があるからこそ、入社試験を受ける会社のことは、一社あたりに時間をかけて、丁寧に調べました。
地に足を付けた活動をしようと考えました。
Q.7 就職先を選ぶ時に重視したことを教えてください。
府大では、教員のご指導や研究設備が充実しており、分からないことが自分の行動で明らかになっていく、研究の楽しさを体感できたので、研究職を希望していました。
その上で、多くの領域でおもしろそうなことをしている会社を選びました。関わる領域が広いからこそ、幅広くて高度な分析力で勝負している会社に惹かれました。
Q.8 この会社に入りたいと心を決めた点は?
この会社に入社して何ができるか、大学で研究してきた知識を生かせるか、について考えたのはもちろんですが、人的な面も大切にしました。面接官だけでなく、リクルート活動で大学に来校される企業の方から、にじみ出てくる会社の印象、社風を感じとることも大事だと思います。
Q.9 ご自身のどんなところが評価されて入社が決まったと感じていますか。
「元気」これが第一!
上司から見て、こいつと一緒に仕事したいと思ってもらえることが大事です。
その次に大事なことは、ストーリー性をもって伝える力ではないでしょうか。
面接試験で役職者を前にした研究発表に評価をいただけたと、後から聞きました。私は、大阪府立大学理学系研究科で実施されていた「ヘテロ・リレーションによる理学系人材育成プログラム」の制度を活用して、M1 の時に、アメリカのフロリダ大学へ留学させていただきました。アメリカでは最初は不安しかなかったですが、3 ヶ月間の留学で、人になにかを伝える時に大切なことを学べました。
一面的な話し方に終始してしまうと、So what?と言われてしまいます。
研究で発見した課題から解決へと導くストーリーを完結させる力が求められます。
異文化の中で「伝える」経験から鍛えられたと思います。

参考:「ヘテロ・リレーションによる理学系人材育成プログラム」サイト
https://163.226.194.128/hetero-gp/

Q.10 職場であこがれる先輩社員はいますか。
います!並大抵ではない努力を毎日積み重ねている先輩がいます。憧れます。
仕事は手早く進めて結果を出して、自分の人生の目標も達成する姿に、ハッとします。
研究への熱意がすごいです。こういう先輩からの助言が響きます。
Q.11 夢を教えてください。
自分の名前を残したいです。
Q.12 夢に近づくために心がけていることは?
深く物事を考える。考えることをやめないようにしたいです。
Q.13 職場でどのようなスキルや能力を求められますか。
多方面から考える力、多方面から課題にアプローチすることですね。日頃からしっかりと考えようとしているつもりですが、周りの先輩には、私にはまだ敵わない上の更に上を行く方が多く、論理の詰めが甘いと必ず論破されます。優秀な先輩方との出会いにめぐまれ、ロジカル・シンキングの鍛錬ができる環境ですね。
Q.14 学生時代にどのような経験をしておくことが大切と思いますか。
学生生活の序盤では、色んな分野の人と大いに関わっておくことですね。
バイトやサークルがいい経験になります。人と関わるのが苦手な人も、なにか興味のあることを見つけて、サークル活動はしてほしいですね。

研究室に配属されてからは、ほぼ研究一本の生活になるでしょうが、勇気をもってチャレンジすることを経験しておくことでしょうか。私は研究生活の折り返し地点を過ぎた頃に、研究テーマを思いきって変えました。
勇気の要ることでしたが、結果的にチャレンジして良かったと思えます。