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Mukund P. Sibi
Professor,
North Dakota State University
第一号ゲストプロフェッサー
2008年アメリカ化学会
A. C. Cope賞受賞

ゲストプロフェッサーによる授業は黒板とチョークで

アメリカ・ノースダコタ州立大学
教授 Mukund P. Sibi

  私が大阪府立大学大学院理学系研究科のゲストプロフェッサーとしてやってきたのは、2007年の7月でした。第1号の栄誉にあずかりましたが、その後、関連するプログラムが大学院GPに選ばれたということで、インターナショナルアドバイザリーボードに推挙していただきましたが、喜んでお引き受けいたしました。もちろん国際化を推進するこのプログラムの趣旨に全面的に賛同できたからです。
  私が大阪府立大学に参ってから、学生に有機化学の授業をしましたが、日本語は使わず(使う事が出来ませんので当然ですが)、アメリカの学生に対して通常するのと同じように英語で授業を行いました。ただし、全く同じというわけにもいかないので、黒板とチョークを使って、いつもよりゆっくりと丁寧に説明しました。授業終了後、何人かの院生に理解度を尋ねてみましたが、「理解した」との意見が多くほっとした次第です。
  語学の問題は授業内容の習得にかんしては、おそらく乗り越えられる問題だということです。しかし彼らがアメリカに来て授業を受けると、ほとんどがネイティブスピーカーに対してする授業ですので、かなりのバリアーがあると思います。ゲストプロフェッサー制度によって昨年にはボルドー大学で1ヶ月滞在し、大阪府立大学で行った授業スタイルと同じようにフランスの学生に教える機会がありましたが、大阪での教育経験は、大変有意義でした。人によっては英語をしっかり学んでから専門の授業を受けるという考え方もありますが、私はそうは考えません。専門を学びながら、共に英語も克服していくという方法が、目的意識も醸成されたいへん大事ではないでしょうか。
  さて、アドバイザリーボードの立場から申しますと、海外への学生派遣プログラムはたいへん大事だと思います。実は私が、最初に海外から受け入れた院生は大阪府立大学理学系研究科からでした。2001年のことだったと思います。当時M1のトジノマミが研究室に3ヶ月滞在しました。3ヶ月ですので研究成果を出すにはなかなか難しいのですが、教育的な見地からすればこれはたいへんに効果があったのではないかと思っています。聞きますとマミは徳島大学にも2週間滞在した経験があるということでしたが、これは複数のメンターを得ているわけですので、ためになったのではないでしょうか。その後、大阪府立大学の理学系研究科の博士後期課程に進学し、博士(理学)の学位を取得し、現在、東京の研究機関で活躍している事を聞きました。たいへん喜んでいます。
  また、大阪府立大学に来て、教える機会がありますなら、よろこんで馳せ参じます。そのときは、ホワイトボードではなく黒板と5色のチョークを用意してくださることを希望します。良い授業には好奇心ある学生と同時に良いリズムが大事ですので。