クローズアップ OB & OG インタビュー

2013年3月卒業 分子科学課程専攻

住友ゴム工業株式会社 材料開発本部

2015年9月

大下 雅樹 Masaki Oshimo


Q.1 高校生の頃に化学の専攻を目指したきっかけは。
「身近に起きるさまざまな現象が、なぜ起きるのか。」このような自然界の原理を解き明かしたいという興味が湧いて、「知りたい」、「自ら解き明かしたい」と思ったことがきっかけです。
Q.2 大学時代にはどのような研究をされましたか。
学部4年生ならびに博士前期課程において,松坂研究室に所属し、有機金属錯体・金属触媒に関する研究をテーマとして3年間取り組みました。松坂教授からは、研究の進め方だけでなく、自分の考えを相手により明快に伝えるためにはどのような工夫をすれば良いかなど、社会人となった今も仕事で活かせる大切なことを日々教えていただきました。
学部生のころは、1、2回生の間に、化学の基礎をしっかりと学ぶことができました。大阪府立大学の自然科学類では、年度ごとに授業の構成が頻繁に改訂されましたが、今、振り返ると、学生が常に学びやすい授業体制で学習に取り組めるようにカリキュラムを整備してくださっていたことを実感します。高校では自然界で起こっている現象について学びましたが、大学では、なぜそのような現象が起きるのかについて、基礎からじっくりと教えていただきました。
Q.3 どんな仕事をしていますか。
タイヤに使用されるポリマーを研究し、車の燃費や摩耗に関する評価を行います。また、新規材料の企画、開発からポリマー・メーカの方々との折衝まで、生産の一歩手前の領域にたずさわっています。
Q.4 どんな時に仕事のやりがいを感じますか。
ゴムに関する高分子化学は未知の領域が多く、自分の想定外の結果を前に、解決策を見出そうともがいている時にやりがいを感じます。
Q.5 どのような点に注目して就職する会社を選びましたか。
覇気のある会社を選びました。会社の規模よりも、自社の事業にどれだけ自信があるか、プライドが伝わってくる会社に就職したいと考えていましたので、競合には負けない、という自負を語ってくださる先輩方にお会いして、心が決まりました。大学のOBも多くいらっしゃいます。
Q.6 ご自身のどんなところが評価されて入社が決まったと感じていますか。
コミュニケーション能力を評価して頂けたのではないかと考えています。人と人とのつながりがないとタイヤは造れないので、面接等では当たり前のコミュニケーションを当たり前にできるかどうかを重視されていると感じられました。
Q.7 職場であこがれる先輩社員はいらっしゃいますか。
はい。研究者として尊敬できる上に、社会人として職場でのコミュニケーションのとりかたにも学ぶ点が多く、さらに、私生活も充実しておられる、あこがれの先輩がおられます。
今のように情報化が進んだ時代において、世界に通用する研究に挑むには、情報収集に不足がないよう、これでもかというほど、準備を重ねて、その上にまだ準備するくらいの周到な姿勢で臨まなければならないことを、実践を通して教わりました。次に、目指すゴールまでのルートを幾通りも想定します。考え得る限りを尽くして、研究の過程で生じるであろう課題とその対応策についても予測を立てた上で、得られる結果へのビジョン、つまり研究の成果として到達する技術への構想がまずビシッとあります。ビジョンを見据えて自らがしっかりと向かってしていく。世界に伍するとはこういうことかと、学びました。

 

―――― 考え得る限りを尽くして予測を立てておくということは、ある程度、推測できている道筋をたどることになり、楽しさが半減しませんか?

 

周到に準備をして踏み出した世界に、まだわからないことが出てきた瞬間が一番おもしろいですね。

Q.8 職場でどのようなスキルや能力を求めらえますか。
コミュニケーション、自己表現、他者の意見を理解できる能力ですね。
Q.9 学生時代にどのような経験をしておくことが大切と思いますか。
色々な人と関わっておくこと。その際、他者を理解し,コミュニケーション能力を磨くことを心がけるとよいと思います。他者の意見を理解できるようになるには、他者の言いたいことを汲みとって、結果を想像してみてから事に当たるようにすれば、自分の考えが正解だったのか、間違いだったのかを振り返ることができます。
Q.10 仕事を充実させるために心がけていることはありますか。
仕事と休みとの切り替えです。以前、その切り替えがうまくできず、業務へのモチベーションが落ちてしまった時期がありました。これではダメだと思い、担当業務が変更になったのを機に、考えを改め切り替え型へとシフトした結果、仕事への充実感をもてるようになりました。大切なことと考えています。