オープンキャンパス2009 理学部
高校生のためのサイエンスフォーラム

 

場所:学術交流会館(C1棟)(キャンパスマップ

 

1日目 8月8日(土) 10:30~11:40

「電波望遠鏡で探る宇宙の進化」
理学系研究科物理科学専攻 教授 大西 利和

星は光では見えない非常に冷たいガスから作られます。電波望遠鏡を用いると、この目には見えないガスを「観る」ことができます。銀河も星で構成されていますから、この冷たいガスを観測することで、星や銀河が宇宙が生まれてからどのように進化してきたかを知ることができます。今回は、この電波での観測で明らかになる宇宙の姿を最新の観測成果を交えてお話しします。また、60台を超える望遠鏡から構成される巨大サブミリ波望遠鏡計画ALMA(アルマ)や、天文衛星プロジェクトの最新の進歩状況・観測成果もあわせて紹介します。

「幹細胞と再生医療の話」
理学系研究科生物科学専攻 教授 原 正之

体の一部が損傷を受けた場合、扁形動物のプラナリアや両生類のイモリなどと比較して哺乳類であるヒトの臓器や組織は、従来それほど高い再生能力を持たないと考えられてきました。しかし近年は、各種の幹細胞と呼ばれる細胞を上手くコントロールすることで、これまで治療が困難とされてきた病気やケガが直るのではないかと期待されています。再生医療に関わる各種の幹細胞や、ES細胞、iPS細胞等の話題を概論として判り易く解説します。

2日目 8月9日(日) 10:30~11:40

「原子や分子をどうやって見るか? ―質量分析法―」
理学系研究科分子科学専攻 教授 早川 滋雄

皆さんの身体を初めとして皆さんが触れるものは、原子や分子でできています。しかし、原子や分子一個一個は小さすぎまた軽すぎるので、皆さんの目では直接見ることはできません。それを見る方法として質量分析法があります。質量分析法を用いてどうやって原子や分子を見ることができるのかを解説します。また、質量分析法に関連したノーベル賞や質量分析法の最近の発展に関しても紹介します。

「コンピュータを高速化する並列処理」
理学系研究科情報数理科学専攻 教授 藤本 典幸

コンピュータの中にある様々な電子部品のうち、コンピュータの頭脳にあたる部品をプロセッサコアと呼びます。コアを1つだけでなく複数搭載した「並列コンピュータ」を作って計算を高速化することを「並列処理する」と言います。2008年11月時点での世界最速のコンピュータはコアを12万9600個搭載しています。最近ではパソコンでもコアを2つ搭載しているものが主流で、その数は今後どんどん増えていくと考えられています。しかしコンピュータを並列コンピュータに単に置き換えるだけでは計算は速くなりません。複数ある頭脳をうまく使いこなすプログラムを開発する必要があります。今回は、並列処理が成功したときの威力と、並列処理プログラム開発の難しさがどこにあるかなどについて紹介します。